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Volume I • Explainer Editorial
THE GLOBAL DISCOURSE世界情勢地誌記録デスク
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    THEMATIC PLATE — SUPPLY CHAINS
    No. 07

    児童労働の現状とは ― 世界のサプライチェーンに残る、なくならない理由

    児童労働は今も世界各地で続いており、その現状は身近な製品のサプライチェーンとも無関係ではありません。チョコレートやファッションなど日常の消費と結びつきながら、児童労働がなくならない理由には、貧困や教育格差といった根深い要因が横たわっています。

    カカオの実や生綿の糸巻きなど、サプライチェーンを象徴する静物
    No. 07 — FIELD PLATE

    世界の児童労働の現状を知る

    児童労働という言葉を聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、遠い国の見知らぬ子どもたちの姿かもしれません。しかし、児童労働の現状は、想像以上に身近な場所とつながっています。

    国際労働機関(ILO)は児童労働を、子どもの教育の機会を奪い、心身の発達を害するおそれのある労働と定義しており、単なる「お手伝い」とは明確に区別しています。この定義に基づく統計として、ILOとユニセフ(UNICEF)が2020年に発表した共同報告書では、世界で約1億6000万人の子どもが児童労働の状態にあると推計されました。

    男の子は主に農業や鉱業、女の子は家事労働や縫製など、児童労働の内容には性別による偏りも見られます。この違いも、対策を考えるうえで見過ごせない要素です。

    地域別に見ると、サハラ以南アフリカでの割合が特に高く、農業分野での児童労働が多くを占めています。一方で、都市部の工場や家事労働の現場でも、児童労働は依然として確認されています。

    児童労働の数はこの数十年で大きく減少してきたとされていますが、近年は経済的な打撃を受けた家庭が増えたことなどを背景に、減少のペースが鈍っているとの指摘もあります。

    余談ですが、ILOは毎年6月12日を「児童労働反対世界デー」と定めており、各国で啓発キャンペーンが行われています。

    数字だけを見ると遠い話のようですが、児童労働の現状は決して過去のものではありません。

    身近な製品とサプライチェーンのつながり

    児童労働がとりわけ強く指摘されてきた分野のひとつが、カカオとチョコレートのサプライチェーンです。世界のカカオ生産の多くを担う西アフリカの農園では、家族総出で収穫作業にあたる中、子どもたちが危険な農具の使用や重い荷物運びに従事するケースが報告されてきました。チョコレートという身近な菓子の背後に、カカオ農園の児童労働という現実が横たわっているのです。

    自分が今日着ている服のタグを、確認したことはあるでしょうか。

    近年では、スマートフォンや電気自動車のバッテリーに使われるコバルトなど、鉱物資源の採掘現場における児童労働も新たな注目を集めています。日用品や先端技術の材料調達までさかのぼると、児童労働の影は思いのほか広い範囲に及んでいます。

    同じ構図はコーヒーの生産地でも指摘されており、そしてもうひとつ、私たちの生活に直結する分野が、ファッション業界の縫製工場です。バングラデシュの縫製産業をめぐる労働問題でも触れたとおり、下請けの縫製工場が幾重にも連なるサプライチェーンでは、末端の工程ほど監視の目が届きにくくなります。ファッションブランドが直接管理していない下請け先で、児童労働が紛れ込む余地が生まれてしまうのです。

    近年広がったファストファッションの潮流は、より安く、より早く衣料品を生産する圧力を強め、末端の下請け工場にそのしわ寄せが向かいやすい構造を生んでいるとも指摘されています。安さの裏側で誰がどのような条件で働いているのかを想像することは、消費者にとっても無関係な話ではありません。

    フェアトレード認証のように、生産過程を第三者が確認する仕組みも広がってきました。それでも、複雑に枝分かれしたサプライチェーンの末端まで完全に把握することは、簡単ではありません。

    児童労働がなくならない理由

    児童労働がなくならない理由は、ひとつに絞り込めるものではありません。もっとも大きな要因として繰り返し挙げられるのが、貧困です。

    家計を支えるために子どもが働かざるを得ない家庭では、学校に通う時間そのものが失われ、教育を受けられないまま大人になった親が、また自分の子どもを働かせるという悪循環が生まれます。

    国際的な法的枠組みとしては、ILOの条約が重要な役割を持っています。就業最低年齢を定めた条約や、最悪の形態の児童労働を禁じる条約など、複数の条約が各国の批准を通じて児童労働の抑制を後押ししてきました。ただし、条約への署名と、実際の現場での実効性との間には、なお大きな距離があります。

    そもそも、なぜなくならないのか、と問われれば、法律や統計の整備だけでは解決しない現実があるからだと言えるでしょう。各国は児童労働を禁じる法律を整えてきましたが、実際の取り締まりが農村の零細農家や、家族経営の工房にまで行き届いているとは限りません。国際労働機関(ILO)の統計は各国の実態を映す重要な手がかりですが、統計に表れない「見えない児童労働」も少なくないとされています。

    貧困に加えて、紛争や自然災害による生活基盤の喪失も、子どもが働かざるを得なくなる大きなきっかけになります。家族が着の身着のまま避難を強いられるような状況では、子どもの就学よりも、その日の生活をどうつなぐかが優先されてしまうのです。

    そして、児童労働はしばしば女の子に対してより重い形でのしかかります。家事労働や年下のきょうだいの世話を理由に学校を離れた女の子が、そのまま早すぎる結婚に至ってしまうケースも報告されており、児童労働と早婚は別々の問題でありながら、深く重なり合っています。

    教育へのアクセスそのものを広げる取り組みも、児童労働への対策として重視されています。学校が近くにない、学費が実質的に家計の負担になる、といった障壁を取り除くことが、遠回りに見えて最も効果的な対策のひとつだとされています。

    なぜなくならないのかという問いは、結局のところ、貧困と教育機会の欠如という、社会の根っこの部分に行き着くのです。それこそが、児童労働がなくならない理由の本質だと言えるでしょう。

    FAQ

    よくある質問

    児童労働はなぜなくならないのですか?

    貧困のために子どもが働かざるを得ない家庭が多く、教育を受けられないまま大人になった親が、また自分の子どもを働かせるという悪循環があるためです。法律の整備だけでは解決しきれない、根深い構造的な問題です。

    児童労働の定義とは何ですか?

    国際労働機関(ILO)は、子どもの教育機会を奪い、心身の発達を害するおそれのある労働を児童労働と定義しています。家庭内の軽い手伝いとは明確に区別されています。

    児童労働にはどんな例がありますか?

    カカオ農園での収穫作業、コーヒー農園での労働、縫製工場での長時間労働、鉱山での作業、家事労働などが代表的な例として報告されています。

    ILOは児童労働をどのように定義していますか?

    就学年齢の子どもが学校に通えなくなるような労働や、危険を伴い心身の発達を害するおそれのある労働を、児童労働として位置づけています。国や産業分野によって規制の詳細は異なります。

    カカオやコーヒーの生産と児童労働はどう関係していますか?

    西アフリカのカカオ農園などでは、家族総出の収穫作業の中で子どもが危険な作業に従事するケースが報告されてきました。コーヒーの生産地でも同様の構図が指摘されています。

    ファッション業界のサプライチェーンで児童労働が起きるのはなぜですか?

    下請けの縫製工場が幾重にも連なる構造のため、ブランド企業の目が末端の工程まで届きにくいことが背景にあります。監視体制の整備が課題となっています。

    児童労働と貧困にはどのような関係がありますか?

    貧困家庭では子どもの労働が家計を支える手段になりやすく、その結果として教育機会が失われ、貧困が次の世代へ引き継がれるという悪循環が生まれやすくなります。

    各国の法規制だけで児童労働はなくせないのですか?

    法律自体は多くの国で整備されていますが、農村の零細農家や家族経営の工房にまで取り締まりが行き届かないのが実情です。統計に表れない児童労働も少なくないとされています。

    消費者にできることはありますか?

    フェアトレード認証など、生産過程が確認された製品を選ぶことは一つの手段です。ただし、それだけで問題が解決するわけではなく、サプライチェーン全体の透明性向上が求められています。

    フェアトレード認証は児童労働の解決につながりますか?

    生産過程の一部を第三者が確認する仕組みとして一定の効果はありますが、複雑に枝分かれしたサプライチェーンの末端まですべてを把握できるわけではありません。

    児童労働は女の子により重い影響を与えますか?

    家事労働やきょうだいの世話を理由に学校を離れる女の子は少なくなく、そのまま早すぎる結婚につながるケースも報告されています。児童労働と早婚は、重なり合って女の子に影響することが多いとされています。