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Volume I • Explainer Editorial
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    THEMATIC PLATE — EDUCATION
    No. 12

    世界の識字率ランキング ― 学校に通えない子どもたちの現実

    世界の成人識字率はおよそ86~87%。一見高い数字に見えるが、その裏には地域や男女で大きく開いた差と、今なお学校に通えない数億人規模の子どもたちがいる。

    閉じた校舎の窓辺に置かれた古びた教科書とノートの束、朝の柔らかな光が差し込む静物
    No. 12 — FIELD PLATE

    世界の識字率、地域による大きな差

    UNESCO統計研究所の推計によれば、世界の成人識字率はおよそ86~87%にのぼる。15~24歳の若年層に限ると92%前後まで上がる。世代が若いほど識字率が高いのは、各国で初等教育の普及が進んできたことの表れだ。数字だけを見れば、世界全体は着実に前進しているように映る。

    だが平均値は、しばしば地域差を覆い隠す。西・中央アフリカと南アジアの一部の国々は、UNESCOの統計で識字率の低い地域として繰り返し挙げられる。ニジェール、チャド、南スーダン、マリ、ブルキナファソ、アフガニスタンといった国々は、成人識字率が低い国として国際統計でしばしば言及される常連だ。

    これらの国に共通するのは、紛争や政情不安、あるいは経済的な困難が長期にわたって続いてきたという背景である。教育制度そのものが十分に整備される前に、別の危機が重なってしまったケースが少なくない。

    男女差も無視できない。UNESCOによれば、世界の非識字人口のおよそ3分の2を女性が占めている。この差は偶然ではない。初等・中等教育からの女児の離脱率の高さ、そして児童婚による早期の就学中断が、統計上の男女差として現れているとみられる。識字率が低い地域と、女性の児童婚率が高い地域は、しばしば重なり合う。

    学校に通えない子どもたちの数字が示す課題

    UNESCOの推計では、初等・中等教育の年齢にある子ども・若者のうち、2億数千万人規模が学校に通えていないとされる。数字の規模はあまりに大きく、実感を持ちにくいかもしれない。だがこの中の一人ひとりに、通えない理由がある。

    理由は一つではない。

    紛争地域では、学校施設そのものが破壊されたり、治安の悪化で通学路が危険になったりする。経済的に困難な世帯では、子どもが労働力として家計を支える側に回らざるを得ない場合もある。女児の場合はここに児童婚による早期離脱という要因が重なる。単純に、近くに学校がないという地理的な制約だけの地域もある。原因が複合的に絡み合っている以上、対策も一つの施策では完結しない。

    識字率の低さは、教育だけの問題にとどまらない。複数の国際統計では、識字率の低い地域ほど乳幼児死亡率や貧困率が高い傾向にあることが確認されている。教育は保健や経済状況とも密接に結びついており、識字率という一つの指標の背後には、その地域が抱える複数の課題が重なって存在している。

    識字率とSDGs、教育支援の現在地

    SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」は、2030年までにすべての子どもが無償の初等・中等教育を修了できる状態を目指している。識字率は、この目標の達成度を測る代表的な指標のひとつとして各国で追跡され続けている。

    統計の測り方についても触れておきたい。識字率の多くは、UNESCO統計研究所が各国の国勢調査や家計調査のデータを集計する形で算出されている。「簡単な文章を読み書きできるか」という自己申告に基づく調査が多く、厳密な読解力テストの結果とは性質が異なる点には注意がいる。数字が示すのはあくまで大まかな傾向であり、地域の実態を完全に写し取っているわけではない。

    日本のように義務教育制度が長く整備されてきた国では、識字率はほぼ100%とされ、国内で話題になることはまずない。だが世界全体で見れば、これは今も数億人規模で残る現在進行形の課題だ。教科書を開けるかどうかという、一見当たり前に思える環境が、世界にはまだ行き渡っていない。

    FAQ

    よくある質問

    世界の識字率は現在どれくらいですか?

    UNESCO統計研究所の推計によれば、世界の成人識字率はおよそ86~87%、15~24歳の若年層に限れば92%前後とされています。世代が若いほど識字率が高いのは、各国での初等教育の普及が進んできたことを反映しています。

    識字率が特に低い地域はどこですか?

    西・中央アフリカと南アジアの一部の国々が、UNESCOの統計で識字率の低い地域として繰り返し挙げられます。ニジェール、チャド、南スーダン、マリ、ブルキナファソ、アフガニスタンなどは、成人識字率が低い国として国際統計でしばしば言及されます。

    識字率に男女差はありますか?

    あります。UNESCOによれば、世界の非識字人口のおよそ3分の2を女性が占めています。教育機会の男女差、特に初等・中等教育からの女児の離脱率の高さが、この差の背景にあるとされています。

    学校に通えていない子どもは世界にどれくらいいますか?

    UNESCOの推計では、初等・中等教育の年齢にある子ども・若者のうち、2億数千万人規模が学校に通えていないとされています。紛争地域や、経済的に困難な世帯の子どもが不釣り合いに多く含まれています。

    なぜ学校に通えない子どもが今も多いのですか?

    紛争による学校施設の破壊や治安の悪化、貧困による労働力としての就労、児童婚による女児の早期離脱、そして単純に学校が近くにないという地理的な要因が複合的に絡み合っています。単一の原因で説明できる問題ではありません。

    識字率とSDGsはどのように関係していますか?

    SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」は、2030年までにすべての子どもが無償の初等・中等教育を修了できる状態を目指しています。識字率は、この目標の達成度を測る代表的な指標のひとつとして各国で追跡されています。

    識字率の統計はどのように測定されているのですか?

    UNESCO統計研究所が中心となり、各国の国勢調査や家計調査のデータを集計しています。「簡単な文章を読み書きできるか」という自己申告に基づく調査が多く、厳密な読解力テストとは異なる点には注意が必要です。

    識字率が低いことは他の指標にも影響しますか?

    はい。識字率の低い地域は、乳幼児死亡率や貧困率が高い傾向にあることが複数の国際統計で確認されています。教育は保健や経済状況とも密接に結びついており、識字率単体ではなく複数の指標を組み合わせて地域の課題を捉える必要があります。

    児童婚と識字率には関係がありますか?

    あります。児童婚によって女児が早期に就学を離れることが、女性の識字率を押し下げる一因になっているとの指摘があります。児童婚の発生率が高い地域と、女性の識字率が低い地域は、統計上重なる傾向が見られます。

    日本の識字率はどれくらいですか?

    日本は義務教育制度が長く整備されてきたこともあり、統計上は識字率がほぼ100%とされています。そのため国内では話題になりにくいテーマですが、世界全体で見れば今も数億人規模の課題として残っています。