( 2月1日更新)
ベトナム、サンジウ族の人々は、すべての出来事は予め運命で定められていると信じ、習慣や伝統をとても大切にします。そのため、妊婦のほとんどは、習慣に従って村の助産師の助けを借りて自宅で出産します。
26 歳のブ・チ・プオンもその一人。元助産師の義母の立会いで、2人の娘を自宅で出産しました。村の外に出たことさえないプオンは、家から5キロも離れた保健 所で出産することにとても抵抗がありました。また保健所は遠いうえに、そこまでの交通手段もないため妊婦にはとても通いきれません。なかには、保健所の出 産費用がまかなえず、自宅出産を余儀なくされる女性もいます。自宅出産の場合に、助産師に渡すお礼はニワトリ1羽で済みますが、保健所での出産には10万 ベトナムドン(農村の平均年収のおよそ半分)の費用がかかります。
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■2人の娘を自宅出産したブ・チ・プオン |
通常自宅出産では、ニガヨモギなどの薬草の入った消毒用のお湯と、小さなナイフか竹のへらを用意します。赤ちゃんが生まれると助産師がナイフをお湯に浸して からへその緒を切り、糸で縛ります。生まれてから30分後に香草の入った産湯に入れるという助産師もいれば、1日たってから母子ともに沐浴させるという人 もいて、そのやり方はさまざまです。さらに、サンジウ族の習慣では、出産を無事に終えた母親が着ていた洋服は、安産祈願として次の母親の出産に使われま す。
しかし自宅出産には危険が伴います。助産師の処置が悪いと逆子になったり、へその緒が赤ちゃんの首に 絡まったりして、母親と新生児の命を脅かします。また栄養や育児についての教育がともなわないため、プオンの娘たちのように栄養状態が悪く、3歳になって も長女は体重がわずか9キロ、次女も8キロしかないといった別の危険も生じます。とはいえ自宅での出産は避けられないため、コミュニティとプラン・ベトナ ムは栄養、妊婦のケア、出産後のケアなどの教育を行って地域の人々への意識向上を図りました 。
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一 方、保健所も保健員が産前産後の定期健診や生活全般のアドバイスをしたり、自宅出産に立ち会うなど積極的に取り組んだ結果、1年後には95%以上の妊婦が 保健所で定期健診を受けるようになり、栄養状態の悪い5歳以下の乳幼児の割合も31.2%から26.5%に減少しました。
母親と生まれてくる子どもの命を守り、子どもたちの健やかな成長を促すことが民族の習慣と同じように大切であることに、サンジウ族の人々は気づきはじめています。