●HIVと生きる、お母さんカウンセラー 〜エクアドル〜

(2008年12月1日更新)

エクアドルの海沿いの街で暮らすアレクサンドラがHIV陽性と診断されたとき、彼女は家族に見放され、仕事も失いました。何よりもつらかったのは、自分の息子もHIVに感染していることが判明したこと。当時を振り返って彼女はこう言います。
「私は家族からも誰からも助けてもらえない、ひとりぼっちの状況のなかで、本当に惨めな日々を送っていました」。

そんなある日、アレクサンドラは、プランの「Stepping Stones(”一歩ずつ”の意味)」ワークショップへ参加しないかと誘いを受けました。
「私は、もともと人見知りでしたので、ワークショップに初めて参加した日は緊張しました。HIV陽性だと分かったら、拒絶されてしまうだろう、と怖れていたのです。しかし、メンバーは温かく迎え入れてくれました」。

※アレクサンドラが、HIV感染予防をテーマとする「Stepping Stoneワークショップ」に参加している様子はこちらの映像をご覧ください。(3分、英語字幕)


 
ワークショップ参加者と喜びを分かち合う
アレクサンドラ

「Stepping Stonesワークショップ」の手法は1994年にアフリカのウガンダで開発され、今では中南米各地でも採用されています。この取り組みによって、セクシュアル・ライツ(※)、個人の能力強化、HIV感染予防について14歳以上の若年層や成人に効率よく伝えることができます。
※性に関する基本的かつ普遍的な権利

プランの「Stepping Stonesワークショップ」推進員である、マクシモ・レイエスはこう説明します。
「ワークショップに参加する若者たちは、HIVとエイズに関する正しい知識に加えて、人間関係の築き方、愛、セクシュアリティ(人間の性に関することがら)についても学びます。ここで学んだ若者は、すすんで同年代の友だちに話をしていきますので、とても早く若者の間に情報を浸透させることができるのです」。

このワークショップは、アレクサンドラにとって大きな支えとなり、また生きる目的となりました。
「当時の私にとっては、これからの私の人生に用意された学校のような存在でした」。

現在、アレクサンドラは、地元の病院のカウンセラーとして、HIV陽性と診断された女性の相談役をつとめ、妊娠している女性には、出産に際しての母子感染予防のアドバイスをしています。
「これまで私が相談にのったHIV陽性の女性が産んだ赤ちゃんで、HIVに感染していた子どもはひとりもいません。相談に来るお母さんたちには、いつもこう言っています。『あなたがHIVに感染していても、健康な赤ちゃんを産むことができるのよ。もし私にもきちんと教えてくれる人がいたら、私の息子が感染することはなかったと思うの。あなたには、私と同じ体験をしてほしくないのよ』」。 

アレクサンドラの熱い思いは、新たな感染を食い止める大きな力となっています。