HIVとエイズに取り組む「赤い親指キャンペーン」 〜フィリピン〜                 

(2008年10月1日更新)

マスバテ島はフィリピン中部に位置し、多様な言語と文化を持つ約80万人が住んでいます。今回は、マスバテの子どもたちが始めたHIVとエイズの問題に対する取り組みについてお伝えします。キーワードは「親指」です!

フィリピンでは、HIVとエイズの問題が表立って語られません。フィリピン全体のHIV感染率は推定で1,000人中1人に満たないとされていますが、マスバテの子どもたちは、事態がもっと深刻だと感じていました。1999年にマスバテで実施された調査では、人々はこの病気の正しい知識をほとんど持っていないとの結果が出ました。当時は、マスバテの学校では、教育省が定めているエイズ教育がきちんと行われていなかったのです。

 
赤い親指キャンペーンに参加した子どもたち
そんなマスバテの子どもたちが始めた「1,000の小さな赤い親指キャンペーン」は、HIVについて正しい知識を学んだ人の親指を赤く染めて印をつけるというもの。赤く染まった指に興味を示した人に、知識を広めるきっかけになります。こうしてキャンペーンへの関心が広まるとともに、村中の子どもたちの親指は次々と赤く染まっていきました。「僕の指を不思議に思った先生や友だちが近づいてきてくれたから、HIVのことを話すことができたんだ」。

このキャンペーンを始めるきっかけとなったのは、2003年にプランが保健・教育省と協力してマスバテで行った子ども向けの保健キャンプ。青少年が保健に対する知識と意識を高めることを目的に行われたこのキャンプでは、性と生殖に関する健康、HIVとエイズ、薬物乱用などの問題を話し合いました。ここに参加した子どもたちから誕生した青少年保健リーダーが、今回のキャンペーンの中心となって活躍したのです。


HIVとエイズの知識を得た子どもたちで作った「大きな親指」

 

保健リーダーの1人エロニーは、2006年にカナダのトロントで開催された国際エイズ会議にアジア代表として参加。地元での活動を広く世界に発表しました。「親指は大切なシンボルでもあるの。他の4本の指すべてに触れることができる親指は、私たちの知識が人から人へ伝えられることの象徴です。一番短い小指にも届くということは、私たちのような青少年(小指)にだって何かができることを表しているんだと思います」。

 


子どもたちが中心となって実施したこのキャンペーンは、ほとんど費用をかけることなく、若者から大人まで地域全体の保健に対する意識を高めました。現在マスバテの学校ではHIVとエイズを授業の中で取り上げるようになり、毎年12月1日の世界エイズ・デーには子どもだけでなく大人も親指を赤く染め、この問題に取り組む決意を新たにしています。