●ストップ!花火工場での児童労働 〜ホンジュラス〜 

(2008年7月4日更新)

夜空を彩る花火は日本の夏の風物詩。所変わってホンジュラスでも、花火の人気は高く、祝祭の行事には欠かすことができません。

コパン県東部の小さなコミュニティに住む15歳の少年イヴァンは、その人生の半分を花火作りの仕事に費やしてきました。両親は貧しく、村には他に仕事の口がないため、選択の余地はありませんでした。教育を受けることも、友だちと遊ぶことも出来ないまま、彼は早朝6時から夕方5時まで働きつづけてきたのです。

最近まで、イヴァンの世界には、両親と工場主が彼に与える2つの仕事―花火に導火線を埋め込むことと、熱したコテで花火の仕上げをするという危険極まりない作業―しかありませんでした。これは、国際労働機関(ILO)やホンジュラス厚生労働省が定める基準で「最悪の形態の児童労働」と認められるものです。しかし彼一人がこのような状況に置かれていたわけではなく、花火生産をほぼ唯一の産業としている近隣の多くのコミュニティの子どもたちも同様でした。

 
家にもたくさんの火薬が!

プランがILOと協力して行った調査で、以下のように過酷な、花火工場での児童労働の実態が明らかになりました。
 ・600人以上の子どもたちが従事。その内、半数の子どもが学校に通っていない
 ・労働環境は不衛生で、危険性の高い仕事である
 ・仕事は10〜12時間以上に及び、ノルマを達成できないと自宅に持ち帰っての作業が強いられる
 ・子どもを守る法律が活かされていない

児童労働をなくし、子どもたちが教育を受けられるように、プランはコミュニティや花火工場、そして子どもたちやその家族に働きかけはじめました。

「工場側と話し合いを始めるまでがとても大変でした。なぜなら、彼らはプランが工場を閉鎖させようとしていると決めてかかっていたからです。子どもたちの集会を開くのにも、邪魔が入りました。私たちは説明を繰り返して、活動の正確な主旨を伝え、工場主たちの信用を徐々に獲得しました。」 −マルシア・アルバラド(プラン職員)

雇用主である花火工場に対して、プランが安全管理や労働基準法について研修を行う内に、花火工場側の問題意識が高まり、労働環境を見直す動きが生まれました。その結果、子どもの雇用に関する規定づくりを工場側が主体となって進めることになりました。こうして完成した、子どもの権利が盛り込まれた工場規定は公的に認可され、法令として施行されることになったのです。地方自治体も、貧困対策の予算を使って他の分野での雇用促進に着手するなど、活動はさらに広がりを見せています。

「大きな変化を実感しています。工場側は、規定に沿った改善を積極的に行っています。例えば、各家庭に置いてあった火薬等の危険物や作業道具を工場に回収し、火薬は量を制限して管理するようになりました。」
  −マルシア・アルバラド

「多いときで80人を雇っていました。自分たちで作った規定ですから、真面目に実行していますよ。安全基準や子どもの権利について、今では非常によく理解しています。雇用側としては、規定による制約で、仕事量が減るなどの厳しい影響はもちろんあります。」
  −ホセ・アドナイ・パチェコ(花火工場主)

また、働く子どもたちやその家族に対して、プランは研修やラジオやテレビを通したキャンペーンで教育の重要性や「子どもの権利」についての知識の普及を図りました。公立学校や非公式の教育機関との連携によって、子どもたちの受け入れ態勢も整えられたことで、現在までに半数以上の子どもたちが花火工場を辞め、新たに学校に通い始めた子どもや若者の数も700人以上にのぼっています。

「私たちの活動で最も大切なのは、子どもたちの参加です!危険で単調な作業を長時間続けることの悪影響は明らかで、子どもは誰もが学校にも行きたいのです。子どもたちが活動に参加し、知識を身につければ、親たちの考えも変わってきます。どのコミュニティでも、概ね子どもたちは協力的です。研修に参加した子どもたちは、新しい知識を友だちへと広めています。」
  −マルシア・アルバラド

大人も貧困と向き合いながら、「子どもの権利」を考え始めました。そして、地域全体を巻き込んだ大きな変化につながっています。