●「遺されるあなたへ」 子どもたちへの贈り物 “メモリーブック” 〜ウガンダ〜                   

(2008年1月8日更新)

「私にとって一番大切でお気に入りの思い出は、あなたが生まれた日、1990年2月20日です。あなたがこの世界にやってきたその日、あなたは誰もがうっとりするような、とても素敵でかわいらしい赤ちゃんでした」


「あなたが生まれた日・・」

 

娘のエヴリンに宛ててそう綴った母親のクリスティン。彼女は数ヶ月前にエイズのため亡くなりましたが、闘病中にしたためた「メモリーブック」は、エヴリンにとってかけがえのない宝物になりました。

幸いエヴリンはHIVに感染していませんでしたが、ここウガンダではHIV/エイズとともに生きている人の数は約90万人(15歳以上)、エイズのため親を失った孤児の数は130万人にも及びます(UNAIDS 2006年統計)。ARV(抗レトロウイルス薬)と呼ばれるエイズ発症の抑制に効果的な薬は、先進国では広く普及していますが、ウガンダで貧困に苦しむ人々にとっては非常に高価で入手は困難です。

そんな中プランは、トロロ活動地域において、HIV/エイズとともに生きる親たちが「メモリーブック」を作成するプロジェクトを実施しています。

その冊子の内容は、家族と子どもにまつわる思い出や、親から子へのメッセージ、将来頼ることのできる親類や知人の情報、また自身の健康状態などの記録、子どもの将来についてのアドバイスなどさまざまです。親たちは工夫をこらし、絵を描いたり持っている写真なども盛り込みます。  
子どもへの思いをこめて

プラン・ウガンダのシニア・ヘルスコーディネーターのベアトリス・ムーワは言います。
「このプロジェクトを通して、親たちには今のうちにすべきことを知ってもらい、子どもたちの将来を守る力をつけてもらいます。子どもたちを将来保護してくれる人を見つけ、遺言を書くとともに、子どもたちのためにメモリーブックの作成を奨励しています」

ベアトリスはさらに続けます。
「このプロジェクトの最終的な目標は、HIV/エイズとともに生きる親と、そしてその影響を受けている子どもたちの生活の質を高めることです。これまでに250人がメモリーブックを作成してきました。このプロジェクトをコミュニティで実施する中で、HIV/エイズについて知る人が増え、より多くの人がHIV検査を受けるようになり、また、子どもの将来のため、アドバイスを求めてくるようになりました」

メモリーブックは子どもたちだけでなく、親にとっても大きな意味合いを持ちます。自らの人生を振り返り、子どもへの愛情やアドバイスを日々綴ることは、病気と冷静に向き合うことにもつながり、その作成が親たちの心のよりどころとなっています。
遺される子どもたちへの思いをこめて作られるメモリーブック。ウガンダでは、今日も新たな1ページが綴られています。

 
メモリーブックを読む子どもたち