子どもの声を届けるラジオの力 〜フィリピン「メディア・プロジェクト」〜               

(2007年11月02日更新)

フィリピンのサマール・ノース活動地域では、以前は子どもの権利についての認識がなく、「子どもは大人の話を聞かなくてもいい」、「大人が話をしている時は、向こうで静かに遊んでいなさい」など、子どもたちはいつも大人の話し合いに加わることなく、大人が決めたことに従うほかありませんでした。子どもは意見を言うことが許されていなかったのです。

ところが、このような状況に変化が現れ始めました。きっかけは2004年7月に同地域で活動を始めたプランが、子どもと大人に向けて「子どもの権利」についてのミーティングを重ねたことです。これまで子どもの権利についてまったく知らなかった子どもたちが、このミーティングを通して自分の意見を声にしたり、その意見を周囲の大人たちに聞いてもらう権利があることを学びました。子どもたちは、絵や劇、歌などさまざまな方法で自分たちの考えを表現し、他の地域の子どもたちとも交流しました。

ある日サマール・ノースの子どもたちは、他の地域の子どもたちがラジオ番組を制作していると知り、自分達の地域でも番組を作ろうと考えました。ラジオ放送で、より多くの子どもと大人に子どもの権利を知ってもらおうと思ったのです。

こうして「子どもの声」というラジオ番組が始まりました。まず子どもたちは放送の専門家による番組放送のためのトレーニングを受けました。現在は12歳から17歳の20人の子どもたちが4つのグループに分かれ、交代で毎週日曜日に1時間の生放送を行なっています。番組では、子どもたち自身がニュース、コミュニティでの生活や活動、そして音楽や関心のある出来事について語ります。メンバーの一人、シャティは言います。「初めは自分がラジオ番組に参加できるなんて考えてもみなかった。でも番組を通して自分に自信が持てるようになって、新たな出会いもあったわ」。

 

 
生放送中の子どもたち。恥ずかしがりやでしたが、自信を持ってきちんと意見を言えるようになりました。

子どもたちの活動によって、大人の子どもに対する意識も変わりました。当初は子どもが意見を発することに難色を示していた大人たちも、次第に子どもたちの意見と参加が大切であるということに気付き始めたのです。今では地元の政府が地域開発の計画案を立てる際に、子どもたちの参加を認めるようになりました。

まだ子どもの声に耳を傾けてくれない大人もいます。しかし子どもたちは活動を支持してくれる大人の存在に勇気付けられながら、これからもラジオ番組で自分たちの考えを発信していきます。

 

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