(2011年5月1日更新)
プログラム部 内山 雄太
プラン・一般プロジェクトで実施中の「女の子たちのシェルター設置」プロジェクトをモニタリングするため、
2月にインドのアーンドラ・プラデーシュ(AP)州へ出張しました。そのご報告をお届けします。
インドの南東部に位置するAP州の特に沿岸部では、人身売買、売春、性的搾取が大きな問題になっています。
これは、繰り返す自然災害によって主要な生計手段である漁業が打撃を受けたことが大きな原因です。
また、親が売春に従事している“第二世代”と呼ばれる18歳未満の女の子は、幼い頃から母親の仕事を間近に見ており、同じ道に行くケースが少なくありません。
また、母親が留守の間に、知人、身内などから性的虐待を受けることもあれば、親が娘を売春組織に売る、あるいは知人から偽の結婚話、就職斡旋話を持ちかけられて売られる場合もあります。
このような状況が結果としてHIV陽性者の増加にもつながっています。
プランは、警察やパートナー組織と協力して、売春組織から救出された第二世代の女の子の保護と自立、売春多発地域に住む中低所得世帯の女の子の経済的自立を支援するプロジェクトを、AP州の2県で実施しています。
具体的には、シェルターに保護されている女の子の日常生活の世話と職業訓練・カウンセリング・就職支援、女の子と家族の仲介役となり、家族が娘を受け入れるための環境整備支援などです。
今回は、沿岸部のプラカーシャム県オンゴール及び州都ハイデラバードで、プランが支援しているシェルター、職業訓練センター、病院などを訪問しました。

ここでは、子どもたちの大歓迎を受けました。
元気で明るい子が多かったのですが、どの子も収容された当初は泣いてばかりいたそうで、
専門家による粘り強い心のケアで回復したそうです。
施設では、勉強、家事、職業訓練、コミュニティでの啓発活動など、日常生活全般を
子どもたち自身で管理させています。
女の子たちは、職業訓練の一環として食パン、ビスケット、衛生ナプキン、アルミ製皿を
作っており、いずれも地域のマーケットで販売されています。
シェルターや実社会での職業訓練が終わると、プランは、女の子と親の間に立って
コミュニティへの復帰を慎重に進めます。
しかし現実には、なかなか娘を受け入れない親もいます。
「娘は長年行方不明になり、結果的に売春に従事していた親不孝者」と捉えていることがあるからです。
中には、自分の娘が騙されて売春組織に売られたという事実を知らなかった親もいます。
復帰のタイミングを誤ると、以前、自分の娘を売春組織に売ったことのある母親が、再び同じことを繰り返す恐れもあります。
シェルターには、学校に通っている子もいます。 授業では日本のことを学ぶ機会が多いらしく、「日本とは“日が昇る国”の意味」、「被爆した唯一の国」などの知識を披露してくれ、ビックリ!また、子どもたちは、インドの歌や踊り、啓発劇(人身売買と性的搾取、学校での体罰禁止)、影絵(HIV感染予防)を披露してくれました。
このセンターがある地域では、今でも多くの女性が国道沿いでドライバーを誘い、自宅で売春を行っています。
住民は中低所得世帯が多いのですが、子女に及ぼす影響が懸念されるため、予防的措置としての経済自立支援を目的として当センターが建てられました。
ここでは、コンピュータやホテル従業員のトレーニングを行っています。
将来、安定した職業に就けば売春に従事することがなく、家計の助けにもなります。
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| ■ 職業訓練センター | ■ コンピュータの使い方を習う女の子たち | ■ サリー作り | ||
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| ■ 美容師養成のコース | ■ 職業訓練で焼いたクッキー | ■ 授業の様子 |
ここでプランは、10〜19歳の女の子を対象にヘルスケア、HIV/エイズ、トラウマケア、人間関係改善などのカウンセリングを行っており、プランが技術指導しているカウンセラー(児童心理専門家、ソーシャルワーカー各1人)も活躍しています。
院外でも、このカウンセラーが養成したメンバーたちが、コミュニティで女の子のカウンセリングを行うとともに、6歳未満の教育を受けたことがない子どもを対象に幼児教育プログラムなども行っています。
3月の東日本大震災の後、インドからお見舞いメールが届きました。
災害に乗じて、日本の子どもたちが売春組織の被害に遭わなかったかと、インドの子どもたちが真剣に心配してくれていたそうです。
インドでは極めて身近で、根深い問題なのですね。
【ご参考】