2010/3/24

エジプトでの会議とプロジェクト視察

Filed under: Africaアフリカ — zzz @ 15:08

専務理事 事務局長 鶴見和雄

プラン・ジャパンは国際NGOプランの一員として、プラン全体の活動方針を定める国際総会を始め、数々の国際会議に参加しています。少人数での話し合いの多くは電話会議で行っていますが、今回は年1回開催されている、支援国の事務局長会合についてご紹介します。

会合はエジプトのカイロで開催され、新たに支援国になった香港、インド、コロンビアの3カ国が加わり、計20カ国の事務局長が参加しました。議題は、ハイチ緊急・復興支援、企業との連携、ミレニアム開発目標(MDGs)の推進、Because I am a Girlキャンペーンなど、多岐にわたります。


■ 国際本部CEOと支援国事務局長の代表者による会合
(日本はアジア地区の代表として参加)

今回は東南アフリカ地域11カ国の国統括事務所長との合同会議もあわせて開催しました。「アフリカ」と一言で言っても、個々の国の文化や抱える問題は異なりますが、プランは地域全体で4つの優先課題を中心に取り組んでいます。今回の合同会議では、これらの課題の進捗状況を確認し、今後の支援国と活動国の連携のあり方なども話し合いました。

<アフリカの優先課題>
・マラリアやHIVの感染予防と、その影響を受ける家族や子どもたちの支援
・水と食糧の確保
・教育
・女性と子どもの権利の保護と啓発

また、活動国で開催される会議では、なるべくプロジェクト視察も盛り込み、現地の活動状況を自分たちの目で見て、住民や子どもたちと話をするようにしています。プランは、エジプトでは7地域で活動していますが、今回はカイロサウス地域のコミュニティを訪れました。

 

訪問したコミュニティは、カイロ郊外の丘陵地帯にあり、約60メートルの岩肌が露わなスラム地域です。人口は約10万人で、一世帯あたり5人が平均的な家族構成。一世帯あたりの月額所得は300エジプト・ポンド(約5,100円)と、この地域での家族の生活を支えられる金額ではありません。

ほとんどの住民は他地域から移り住んできており、背景となる文化や慣習が異なるため、生活様式もさまざまです。主な産業は、木工家具やカーペットの製造、真鍮や大理石を使った工芸品や建材加工などで、貧困と労働力不足のために、多くの子どもたちが安全とは言えない環境で働かされています。

 

学校には校内暴力が多く、狭い教室内には子どもたちが詰め込まれ、中途退学率もとても高い状況です。家庭に目を向けても、女性や女の子への虐待が深刻で、FGM(女性性器切除)や早すぎる結婚などの慣習も残っています。

また、社会インフラの整備から取り残されており、慢性的な水不足と汚染された水源に悩まされています。下水道設備やゴミ回収システムも整っていないため、道路には下水が溢れ、腐敗したゴミ山にマラリア蚊が集まり、住民の健康状態を悪化させています。病院や保健機関も少なく、高額な医療費を負担できない現実が、人々をこれらの医療サービスから遠ざけています。

プランは、このように課題の多い地域で、それぞれのコミュニティの住民とともに、地域を取り巻く問題に取り組んできました。現在進行中のプロジェクトを一部ご紹介します。

1. 障がい児プログラム(地域に根ざしたリハビリテーション)
 

エジプトの全人口の約10%が障がいを持っており、5%が社会サービスを受けられず、差別の対象となって苦しんでいます。本人ももちろん、その家族も阻害され、生きる気力と手段をなくしていることが少なくありません。プランの調査によると、今回訪問したコミュニティでは約250人の子どもたちが障がいを持っており、そのうちの3割が身体的障がい、7割が知的障がいでした。

今回は約30人の障がい児が5教科を学んでいるセンターを訪問し、子どもたちとその母親グループに会いました。16歳の息子をセンターに通わせている母親のソードさん(49歳)は、「以前は障がいを持つ息子を世間から隠し、私も社会との接点を避けて生きていました。この子がセンターに通って字を書けるようになり、表情も豊かになったことで、一輪の光が見えてきた気がします」と、話してくれました。センターでは、母親を対象とする講座も行われています。

2. 小規模金融プログラム
  

生計の安定は、貧困の解消はもちろん、子どもの教育や健康にも欠かすことができません。しかし、銀行や金融業者は、低所得者にお金を貸すことに二の足を踏み、貸したとしても高額な利子を課します。そこでプランは、小規模金融プログラムで、住民を組織化し、預託資金の管理や融資返済を連帯責任で担うグループを育成しています。

プランが組織化したのは、エジプト全土で約460グループ。約5,000人が参加しており、その8割は女性です。訪問先のコミュニティでは、最初は小口貸付からスタートし、実績を積み重ねた上で、一回の上限1,000エジプト・ポンド(約17,000円)までの融資を行っています。返済期間は3カ月後です。

グループに参加しているアブトさん(女性)は、「主人はタクシー運転手ですが、収入は安定していません。グループに入り融資を受けて、プラスチック用品を売る小物屋を経営することができるようになりました。売り上げの一部を返済にあて、同時に長女の結婚資金を貯めています」と、意気揚々と話してくれました。

3. ストリート・チルドレン・プログラム
  

地方と都市部の経済格差から、都市部への大量の人口流入が留まることなく続き、アンバランスな都市化を進めています。カイロでも、都市部に移り住んできた人々の劣悪な生活環境に加えて、両親の離婚や家庭の崩壊、家庭内での子どもの虐待、教育機会の喪失など、ストリート・チルドレンを生み出す土壌はいくらでもあります。

プランは約20年前から、この土地のストリート・チルドレンの支援を行ってきました。その目的は彼らが生まれたコミュニティに戻って生活改善を行うだけではなく、子どもたちが将来的にしっかりと自活し、生きていく術を身につけさせることにあります。

今回訪問したデイケアセンターには、約50人のストリート・チルドレンが通っていますが、宿泊設備は併設されていません。通っているのは主に8~15歳の子どもたちで、その6割が女の子です。センターでは、絵画やジュエリー製作などを学べるほか、アラビア語などの語学講座もあります。昼にはランチが支給され、その日のメニューは、バーベキューチキンとエジプトパンでした。

 

ジュエリー製作の指導を受けている15歳の少女は、「センターが開く9時から16時の間は、いつもセンターで過ごしています。ストリート・チルドレンになったのは、両親の離婚と母の再婚相手による家庭内暴力が原因です。今はジュエリー製作を学び、一日でも早く今の生活から抜け出したいです。元の家族のもとに戻る気持ちはありません」と、語りました。

16時にセンターが閉まると、街に出て路上で小物を売っているという少女。そして疲れるとそのまま路上で眠り、翌朝9時にまたセンターに来る生活を送っています。プランの活動を通して自信をとり戻し、いつか家族とともに生活できる日が来ることを祈りながら、このセンターを後にしました。

エジプトでは、ほかにも9つのプログラムがあり、そのすべてが「子どもとともに進める地域開発」の活動方針に基づき、実施されています。今回は詳しく紹介しませんが、ほかのプログラムには、「子どもと青少年の能力開発」、「児童労働の廃止」、「就学前教育の普及」、「子どもの保護」などがあります。

アフリカの貧困は根深く、多くの課題が山積しています。それでも今回出会った子どもたちの活力は、いずれコミュニティを、そして社会を動かす大きなエネルギーとなることでしょう。今回訪れたエジプトに、アフリカの将来と可能性を見た気がします。

※関連記事:「ストリート・チルドレンの声 ~エジプト」

ボランティア・寄付ならプラン・ジャパン

2010/3/11

2月は、まさにインド月間でした!

Filed under: Japan日本 — zzz @ 14:02

 コミュニケーション部 大谷美保

プラン・ジャパンの2月は、まさにインド月間でした。まず、支援者を対象に実施したスタディツアーの行き先がインド。帰国するなり、インドから2人の女の子が来日。プラン・ジャパンのイベント「Girl Power~インドを変える女の子たち」で彼らの活動をたっぷり語ってくれました。

来日した17才のアヌラダ、24才のヘムラタ、2人とも芯がありつつ周りへの配慮を忘れない素敵な女性ですが、食に関しては一歩も譲りませんでした。朝はホテルの食事が喉を通らず、近くのパン屋で前夜に購入するガーリックブレッドとミルクティーでしのぎ、昼と夜はインド料理店へ。お弁当や給食が提供された場所でも、持参したポテトチップやバナナでやり過ごします。インドを変える女の子たちのパワーの源はスパイスがたっぷり効いたカレーでした。

 
■左:神戸での活動報告の後、兵庫ペアレント会の皆さんがインド料理店で懇親会を企画くださいました
■右:プラン・ジャパン評議員で俳優の滝田栄さんと

「日本の男性は恥ずかしがりやで優しくてステキ」と繰り返していたのはヘムラタ。明日からインドにワークキャンプで出かけるという大学生と過ごした時間は、同年代の男女と交流できた貴重な体験でした。インドについて熱心に質問を受け、帰り際にはソーラン節のプレゼントも。友だちになった女性や気になった男性の名前をしっかりノートに書き留めた2人でした。

 
■左:学校で習った「カラテ」を披露するアヌラダ
■右:インド渡航を控えた大学生たちと(国際ボランティア学生協会)

オフの日には、近隣の「下馬福祉工房」を訪問。知的障がいを持つ方が通う作業所です。お互いの言葉が分からなくても「ナマステ」が飛び交った半日は心の通ったあたたかい時間でした。午後は、作業所でご一緒した大学生とのガールズトーク。時間を忘れるほど盛り上がり、鳴子までプレゼントされて大喜びでした。

 
■左:クッキーに入れるナッツを砕く仕事を教えていただきました
■右:インドの音楽にあわせてのダンスも盛り上がりました!

学校訪問した際には、インドと何もかも違う学校の様子に目を丸くする2人。「私の村では、女の子は教育を受けなくていいと考えられていて、みんな中退していきます。私が高校に行けたことはすごく感謝すべきことなのです」感極まってそう話すアヌラダの目はうるんでいました。授業の最後に「皆さんの学校は恵まれています。ここで勉強できることに感謝してください」と話したアヌラダの言葉が、子どもたちの心にちゃんと響いたことを祈るばかりです。

 
■英語の時間をお借りしてインドの現状をお話しました
 (東京都立両国高等学校附属中学校)

200名を超える方々への報告会を終えたあと、念願のジェットコースターに乗りに遊園地へ!緊張の糸も切れて、寒空もなんのその、はしゃいだ2人。その他にもこの2週間では、プリクラに挑戦したり、100円ショップを駆けずり回ったり。神戸での報告会のあとには京都観光もしてきましたが、神社仏閣よりも友だちへのお土産に悩む時間のほうが長くかかったようです。

 
■左:東京の遊園地でジェットコースターを体験!
■右:長崎では、プラン・長崎ペアレントの会の皆さんに「長崎ランタンフェスティバル」に連れて行っていただきました

映像上映会x報告会「Girl Power」における彼女たちの報告からは、少しのきっかけで、持っている能力を開花させつつある女の子たちの頼もしい姿が浮き彫りになりました。女の子の教育が途上国の子どもたちを変える。目の前で語るアヌラダ、ヘムラタを通じて、それを再認識した2週間でした。

 

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